ツーリングレポート 2009


01 志賀・野反湖・谷川岳 大自然と涼を感じる、ソロツーリング
2009/07/11(土) 日帰り CB1300SB − 2009/07/22記

記念すべきツーレポ第1号です。

野反湖の、ツーレポタイトル用写真

前日金曜日より、関東甲信越は土曜日晴れとの天気予報だった。梅雨の晴れ間に、緑あふれる気持ちのいい所にロングツーリングに行きたいと思い、ツーリングマップルをパラパラめくり、以前から行ってみたかった志賀にとりあえずの目的地を設定した。

当日朝は、日帰りロングツーリングならいつも4時起きのところを寝坊してしまい、少し遅い5時前に起床。急いで支度をして、5時半過ぎに自宅を出発。志賀には長野側から入ろうと思っていたので、高速は上信越道の信州中野ICまで利用する予定だ。この場合、関越道経由と中央道経由の2つの選択肢があるが、寝坊したせいで、大都市近郊区間に適用される「夜間早朝割引(50%off)」を受けられる05:59までに、関越道練馬料金所あるいは中央道調布ICを通過するのはもう無理だ。ちなみに06:00以降になると、30%offになってしまう。残念。

たった20%の差、しかも大都市近郊区間「のみ」の料金割引なのだが、最近はほぼ毎週末遠出をしているので、可能な限り節約しようと決めているのだ。早出をすると、行きの渋滞にもあわないので、一石二鳥なのだ。

さてこうなると、出来れば大都市近郊区間をバイパスしてしまいたい。関越道の近郊区間の切れ目の東松山ICまで下道で行くのは、かなり時間がかかり現実的ではないが、中央道の切れ目の八王子ICまで行くのは、この時間なら十分可能だ。よって中央道経由で行くことにした。これで行きは完全に1000円ポッキリになった。


自宅から、多摩川沿いの道路、川崎街道、日野バイパスと行ったあたりでお腹が空いてきて、八王子バイパス付近の吉野家でハムエッグ定食を頂く。この時間、このお値段で、暖かい食事を『座って』頂けるのはありがたい。以前、同じく早朝出発のツーリング時に、このお店で、朝にもかかわらず牛丼大盛りを食べ、その後走行中に満腹で猛烈な眠気に襲われたことがあったので、今日は気持ちボリューム少なめのハムエッグ定食にしておいた。

吉野家ハムエッグ定食の写真

お店を出て、八王子バイパス経由で07:30過ぎに八王子ICから中央道に乗ると、もう結構な渋滞だ。おとなしく少しだけすり抜けさせて頂く。八王子JCTあたりから流れ始め、相模湖手前でほぼ渋滞は解消した。

そこからは青空の広がる中、快適クルージング。追い越し車線をノロノロ走ったり、逆に飛ばして前の車をあおって流れを乱す車もなく、マナーのいい安全運転の車が多かった様に思う。天気がいいせいかバイクも多く見掛けたが、ソロはほとんどいなくて、2、3〜5台程度の小グループが多かった。


途中、双葉SAで休憩。車エリアはだいぶ空いているものの、バイクエリアは満杯で、周囲にバイクがあふれていた。

双葉SAの写真

少し休憩してから先に進む。道は相変わらず空いており、左右の景色を堪能しながら長野方面に向かう。

中央道の写真

右手には、すっかり夏景色になった八ヶ岳。

八ヶ岳の写真

快走状態のまま中央道から長野道に入り、上信越道に入る手前の姨捨(おばすて)SAにて、高速最後の休憩。このあたりから高速道路越しに右手を見下ろすと、山々のふもとに千曲川沿いの市街地風景が広がり、すばらしい景観だ。お立ち寄りの際は、ぜひとも一度見て頂きたい。


信州中野ICで高速を降り、料金1000円ピッタリを確認。有料の志賀中野道路に入らぬよう、ICを出てすぐに右折。山道に入る前に(確か?)JOMOで給油をし、またいい食事処があるかどうか不明なので、その隣のセブンイレブンでおにぎりを買い込む。

志賀中野道路を無事バイパスし、国道292に入る。長野側から志賀に入るのは今回が初めてだが、思っていたより道路がいい印象を受けた。ずいぶん前の話だが、おそらく長野オリンピックで整備されたのであろうか。そういえば長野オリンピックの時、大手IT企業のIちゃんが計測などを受け持つことになり、大学からの友人だったIちゃん社員が、何ヶ月間か長野のこの辺りに幽閉されていたことを思い出す。

山道に入ると、そこからは適度なワインディングと北海道の森の中の様な大自然。近場だと、ビーナスラインの霧ヶ峰〜美ヶ原間をさらに山深くした感じだ。走るのが楽しくて楽しくて、その間の写真を撮るのをすっかり忘れていました。

渋峠2172メートルの標識の写真

そして国道日本最高所の渋峠、標高2172mに到着。少し手前の気温計は13℃を表示していた。サブッ。渋峠には食事が出来そうな宿泊施設があったが、イマイチそうだったので、おにぎりを買っておいて正解だった。少し寒い中、駐車場でおにぎりをパクつく。

ちなみに私はおにぎりが大好きだ。こういう時にパンを食べると、お腹はちゃんと一杯になるし、当然血糖値も上がるはずなのだが、いかんせん力が出ない。あと日本そばも大好きだ。夏はもり・ざるか冷やし系、天ざるだと最高である。冬だと、かき揚げそばに七味たっぷり。本当は海老天が好きなのだが、大抵期待はずれの大きさでガッカリするので、かき揚げびいきである。

渋峠にてCB千三百SBの写真

さてこの奥に見えるリフトに乗ると、映画「私をスキーに連れてって」に登場する「志賀万座ルート」で有名な、横手山山頂に行くらしい。この映画は確か高校三年生の時に見て、すっかりホイチョイ・プロダクションズの術中にはまってしまった。以来学生時代を通して、また社会人になってからも数年間は、スキーにどっぷりはまっていた。

映画のストーリー中、あることで、原田知代の恋人の三上博が慕ってやまない会社の先輩である、田中邦衛が窮地に立たされる。本来なら三上博が助けるところなのだが、その時点で不在だった彼が宿に帰ってくるのを待つと、時間的に間に合わない。そこで原田知代は、彼、三上博のため、そして田中邦衛のため、スキー初心者の自分にはあまりにも無謀なコースと知りつつ、志賀万座ルートを独り万座に向かった。宿に帰ってきた三上博は、状況から「まさか、志賀万座ルートで独りで向かったのでは...」と気付き、彼女を追いかける。三上博(スキー実演は海和俊宏)は、横手山山頂から、シャッ、シャッ、シャッっと、ウェーデルンで下って行く。

いやー、ほんとカッコ良かった。男だねーと思った。演じる三上博と、滑る海和俊宏のどちらもですよ。この映画は、スキー、恋愛、娯楽、車、無線、そしてかなりマニアックなアイテムの数々に、ユーミンの音楽、と言うことない。

しかし学生時代はスキーにはまっていたのだが、何故か志賀はほんの数回しか来たことがない。野沢にはよく行ったのだが。


渋峠を過ぎると景色は一変する。渋峠までの志賀側は山深い森の風景だが、渋峠より草津側は荒涼な火山風景が広がる。所々、有害な硫化水素ガスの刺激臭が漂い、草津手前では「硫化水素ガス危険のため駐停車禁止」の区間もある。

草津白根山付近の写真

殺生河原付近の写真

今日は街中走行は避けたい気分だったので、草津市街の雑踏を避けようと、国道292から県道55に入る。すると「野反湖」の看板が目に入る。聞いたことはあるが、行った事はない。自然豊かなキャンプ場があると聞いたことがある。

じゃあ行ってみようと、野反湖に向かう。県道55は一部舗装が荒れていたが、その先の国道405は、所々幅員が狭いものの道は良く、野反湖から戻ってくる対向車がたくさんあり、多くの人が訪れている=やはり野反湖はいい所なのでは?との期待が増す。そして野反湖に到着。

野反湖の写真

これは駐車場から撮った写真だが、それでも辺りにはニッコウキスゲが咲き乱れ、すぐ後ろに車が停まっていることを除けば、あたかも尾瀬に来ている様な錯覚に陥る。すばらしい自然だ。ここも志賀と同じく、北海道に来ている様な気にさせる。

野反湖ニッコウキスゲ群生の写真

次回は車にフォールディングカヤックを積んでここに来たいと思い、カヤックでの入湖可否を売店のおじさんに尋ねたところ、残念ながら不可とのこと。この湖は東京電力の管理で、言わば私有地とのことだ。

それならば次回はバイクで、湖の一番奥にある野反湖キャンプ場に出動してみようと思いつつ、野反湖を後にした。


国道405を戻り、このあたりでは「日本ロマンチック街道」に組み込まれている県道55を沼田方面に向かう。走っていてとても気持ちがいい快走ルートだ。

そんないい気分で、さて今日はどこまで行こうかと考えた。このまま沼田を通り、金精峠を越えて、いろは坂を下ってしまおうかとも考えた。しかしずっと走り続けで、少し疲れてきたような気もする。金精峠を越えて帰るのは少し行き過ぎかなと思い、もう少し近く、とは言っても、水上の少し奥にある2つのダム湖、奥利根湖とならまた湖に向かうことにした。行ったことはないが、どちらも自然豊かなカヤックフィールドとして有名なのだ。まあ下見である。


途中、月夜野IC近くの道の駅、「月夜野矢瀬親水公園」で休憩しながら、ツーリングマップル(TM)でルーをチェック。すると水上の奥、新潟との県境にそびえ立つ谷川岳の、あの有名な岩壁「一ノ倉沢」のすぐ目前まで、国道291が伸びているではないか。昔はよく山歩きをしていたので、一度は『登ってみたい』ではなく(恐れ多い)、一度は『見てみたい』と思っていた。まずは一ノ倉沢に向かい、時間と疲れ具合を見て、奥利根湖とならまた湖行きを考えることにした。

水上を過ぎ、学生時代に何度となく初滑りや春スキーで来た、谷川岳天神平スキー場に向かう谷川岳ロープウェイを過ぎ、急カーブの急坂を上ると、CBよりもXRの方が似合いそうな1.5車線の舗装林道となってきた。ナビ画面であと少しだなと思うあたりで、急に視界が開けて、名前は忘れたが、それはそれですごいスケールのなんとか沢が現れた。そして更にもう少し行った最後の最後、車止めがある国道の終点で、一ノ倉沢が、予想していたよりもはるかに間近に現れた。

一ノ倉沢の写真

すごい。すごい迫力だ。この写真では決して伝わらないと思うので、ぜひ皆さん、ご自分で行ってみて下さい。それ程多くの山に登った訳ではないが、車あるいはバイクで行ける場所、言わば入山口から、これほどの山岳風景を間近に見られるところを、私は他に知らない。

昔、会社の夏休みを利用して、独りで穂高連峰のピークハントをしたことがあった。ベースキャンプを作ろうと、穂高連峰の中腹にある涸沢という場所まで、テントや寝具、燃料に食料、そしてアタックザックなどを担いで登った。雷も聞こえるあいにくの大雨の中、テントを設営したが、その後疲労でテント内に倒れ込む様に眠ってしまった。雨上がりとともにふと夕方に目が覚め、急速に山々から雲が取れていく中で、改めて周囲を囲む荘厳な穂高の峰々を間近に目にした時...大げさと思われるかも知れないが、神を感じた。山々に宿る神の存在を感じた。たまたまその天候と時間帯にめぐり合っただけなのかも知れないが、それほど衝撃的な光景だった。太古の昔から続いている山岳信仰の由縁を、その時初めて体感した。

一ノ倉沢も、直下まではあと1km程度の距離があるだろうにも関わらず、この迫力だ。直下では、おそらく同じ様に神を感じるのではないかと思ってしまう。一ノ倉沢を正面に見ながら、しばし国道終点に立ち尽くす。

一ノ倉沢の説明板の写真

一ノ倉の「クラ」は、こちらの方言で岩や岩壁のこととのことだ。またここは「グレード6級」という、世界でも最も登はんの困難な岩壁の1つに数えられているそうである。ここが「魔の壁」と呼ばれ、数え切れない程の登山家・クライマーの命を飲み込んできたことは、あまりにも有名である。

今日はここを最後の立ち寄り地として、厳かな雰囲気に包まれたまま帰路につきたいと思った。2つの湖はまた今度、金精峠と合わせて来ることにして、水上ICから関越道で練馬まで、そこから目白通り、環七経由で帰った。帰宅したのは7時半頃。関東甲信越の大自然を満喫した一日だった。


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